「アライン」という言葉があります。「ホイール・アラインメント」なんていう言葉をお聞きになったことがあるかもしれませんが、これはホイール、つまりタイヤが真っ直ぐ進むよう角度を調整したりして舵取りを上手くいくようにするもののことです。ウェブサイトでも同様で、「リ・アライン」、つまり再アライン(再調整)の必要性を述べています。「リデザイン=再デザイン」と「リアライン」、あなたはどちらのチームに属しますか?

# 206

リデザイン vs リアライン

2004年の中頃、私は絶え間なく続く「リデザイン」は、年末にはある程度止むのではないかと公言していた。

進んだ考え方の持ち主は、一番重要なのはコンテンツであることを理解していて、なにか受賞することだけを追いかけ一時的に大きなトラフィックしか発生しない、ひどく弱いコンテンツしか提供しないような技術的な作り直しに頼るよりも、最小限の改良を行うことに注視している。

なんて間違いだったのだろう。今も「絶え間なく続くリデザイン」というものは無くなるには程遠いようだ。

お菓子屋さんにいる子供のように、我々クリエイティブな人間たちは、次の流行とでも言うようにリデザインを続ける。なぜ我々はそこまで強欲にリメークやリニューアルを欲しがるのだろう?なぜリニューアルを盛んに行うのか?なにがそこまで我々を「再生」へと駆り立てるのだろうか?

この記事では右脳エリート達の心理的な志や、彼らの生まれ持っての再創造願望について分析することはないが、リデザイン(再設計)することとリアライン(再調整)することの違いと、それぞれの利点について説明したいと思う。

もしiLifeが森の中で倒れたら…

2005年の4月、AppleのiLife ’05の発表がサンフランシスコでのMacworld Expoで発表された。その結果アップグレードされたこの“デジタル・ライフスタイル・アプリケーション”スイートに関するの専門語満載の特集が沢山生まれた。

その中でほとんど触れられなかったのは、再ブランディングされたiLifeのパッケージである。ほとんど聞こえないようなファンファーレとともに、Appleはこのライフスタイルツールの一新したアイデンティティ—ここではひとまず「リデザイン」と呼ぼう—を紹介したが、パッケージデザインの変化についての議論が起こらずに予想外の静けさが観客たちにひろまった。

Image showing brand differences in packaging between iLife '04 and '05.

iLife ’05発売の直後にこの記事のアイディアは生まれた。私にはピンときたのだ。この新しいiLifeパッケージは、「再デザイン」のための単なるリデザインではなかったのだ。パーソナルコンピューティングはもはや効率化のためだけのものではなくなり、日常生活の一部となって、コミュニケーションや社会交流になくてはならないものとなった。例えばiPodは、今やテックギークだけのものではない。それはとても素早くコーダーやサッカーママたちにとって必需品となった。そしてそれがまさにこの新しいパッケージが示すことなのだ:テクノロジーよりも人々がメイン。カメラやキーボードたちは以前のデザインから残ってはいるが、オーガニックなスタイルと種を表すかんじ—完璧な「Life」の表現そのもの—が主役となっている。

では、新しいiLifeのパッケージは、単に新たなクリエイティブな欲求を満たすためだけのものだったのか?それともそれだけでないさらなる試みであったのか?恐らくそれはリデザインでもなかったのであり、むしろポジションの変更—つまりリデザインというよりもリアラインだったのだ。

リデザイナー VS リアライナー

ここまでで、我々クリエイティブな人種を2つのチームに分けられたと思う。そして私はリアライナーチームに属したいと思っている。2チームを比較する際、贔屓目に見てしまうことを許してほしい。

「リデザイナー」

リデザイナーたちはしばしばリデザインを正当化するとき、美意識に対して感情的な反応をもとにする。次のような典型的意見を聞くことがあるだろう:

最後のリデザインから2年も経っている。
今のものは古臭く見える。
リデザインは新たなトラフィックをサイトにもたらすだろう。

非常に頻繁に、見た目や印象、カラーテーマ、レイアウト、そしてアイデンティティがこういった会話のなかで問題の解決案として議論され、美的以前の事柄で、もしかしたらその問題点の根本であるかもしれない他のものが注目されるのはずっとあとだ。「原因」を考えるよりも、「症状」を治療するための警告がまず思い浮かぶのだ。

「リアライナー」

リデザイナーと比較すると、リアライナーはサイトの見直しの理由として、戦略的な目的やユーザーのニーズを挙げる:

市場のトレンドは変わった。我々のウェブサイトもそれに沿って調整すべきか?
ユーザーのニーズも変わった。それに適応すべきか?
この12ヶ月の間に3つの新しいセクションと、沢山の新しいコンテンツを追加したが、それらを効果的に見せることができているか?
我々のウェブサイトは我々の商品が提供するものの強みをそれほど伝えられていない。
オンラインを使うことは全体的な我々のブランドのイメージを強化しているか、それとも損なっているのか?

したがって、リデザイナーとリアライナーの違いは次のように要約できる:リデザインへの欲求は美意識により起こるものであり、リアラインは目的によって起こる。片方は「リニューアル」を求め、もう片方は「ポジションの変更」だけを目的とし、完全なリニューアルを含む場合もあれば含まない時もある(気づいてほしいのは、「ポジションの変更」とは物理的な位置やサイズではなく、戦略的な位置の意味である)。

勘違いしないでもらいたいが、私も時には典型的なリデザイナーの役割を果たすことがあった。我々は皆思い切ったことをして競争の頂点にたつためにリデザインをする権利がある(たとえばコンテンツやポートフォリオサイトをリデザインするときなど)。加えて、全ての非難を向けられるべきではない。なにせ我々はまず第一にクリエイティブサイドの人間であり、その次に戦略家(そして情報建築家やプロジェクトマネージャーやコーダーなどこの世のその他全てのもの)であるのだ。しかしそれでも、根拠の薄いリデザインが専売的なクリエイティビティばかり売り込んで、どのようにリデザインしたかばかりを宣伝し、なぜリアラインする必要があったのかをおろそかにすることを私は懸念している。

Noと言いなさい

恐らくなぜリアラインするかという点に慣れるために最も良い方法は、Noということから始められるだろう。戦略とはしばしばYesということと同じようにNoと言えるかということであり、リアラインも同じことだ。

戦略のゴッドファーザーとして知られる、Michael Porterが彼のHarvard Business Reviewの記事、 “What is Strategy?”の中で見事に言い表している:

戦略の真髄とは、なにをしないか選ぶことである

ありがとう、ゴッドファーザーMichael。あなたは、根拠のないリフレッシュとリニューをおこす典型的な気まぐれに対してまずNoと言うことにより、リデザインに疑問をなげかけリアラインを意識し始める理由を我々にくださいました。

しかしながら、戦略や他のコンセプトにまつわる話はもういいだろう。実践的なアプリケーションについて話していこう。

論より証拠

では誰がすでにリアラインの流れにのっているだろう?いくつかの短いケーススタディーが以下だ。

31three

私達は一度も実際に会ったことはないけれども、Jesse Bennett-Chamberlainのことはとても親しい友人のひとりだと思っている。この記事の最初のアイディアを書いていた時、私は今度のJesseのスタジオのサイト、31Threeのリデザインを、いや、リアラインを覗き見ることができた。

Jesseは私がこのようなテーマで記事を書いていたことを全く知らなかったが、彼の最初の段階でのレイアウトを見てすぐ、私は最初のケーススタディーを見つけたと思った。文字通り何年もの間彼にお願いしたあと、Jesseはやっと使命を心にとめてtableを辞めブログをサイトに付け足すことにしてくれた。それに応じてサイトはアップデートが必要だったが、全面的なリデザインは必要なかった。すでにしっかりしたデザインがあったので、カラー、グリッド、タイポグラフィーなどのマイナーチェンジをすれば、もう彼はいちリアライナーへと近づいているところだった。

Image showing 31three.com original and realigned sites.

とても見事でしょう?得点:リアライナーチーム1点、リデザイナーチーム0点。

SimpleBits

他の長年やっているサイトと同じように、Dan Cederholmの SimpleBitsも時を経て変化している。しかし皆が想像するような感じではないだろう。次のスクリーンショットを見てもらいたい。

Image showing SimpleBits over the years.

年を経る中で全面的な変化はあっただろうか?私は見つけられなかった。Danは、各フェーズで類似部分を持つ骨組みを保ちつつ、サイトの発展に伴って調整し、修正し、適応させてポジションを変化させるのに成功している。Danが新しいバージョンを年を経て生み出すのを私が見る限り、彼は目的に基づいた改良を意識している。もう1点リアライナーチームに追加だ。

「だけどCameron」、あなたは言うかもしれない。「あなたが例にあげているこれらは小さなスタジオのサイトだ。もっと大きなスケールでのリアラインはどうなのです?」

急がないで、読み続けてみてほしい。

博愛のリアライン

夏にかけて、私はMarch of Dimesのために仕事をする幸運に恵まれた。Franklin D. Rooseveltによって1983年に創立され、March of DimesはリサーチやWalkAmericaというチャリティイベントを通して早産を減らす運動をしてきた。Nick Finckの口づてにより、彼らは新しいホームページのために私のところへ来たのだ。

他の典型的なプロジェクトと同様に、プロジェクトに選ばれる前にRFPが提供された。以下がその冒頭である:

2002年の9月、我々はペアレントサイトであるwww.marchofdimes.comをリリースした。それ以降、我々はいくつものウェブサイトを作り、ページビューは伸び、オンライン基金調達ツールを新規まき直しに作り1200万ドルも集め、多大な信用と興味を財団内部からも得た。このイニシアティブと、引き続き他のオンライン・コミュニティ(掲示板やブログ)での成長をサポートするために、我々はホームページのリデザインが必要である。

ビンゴ。彼らはきちんとアイディアを極めている。つまりこれがリアライナーの、目的に基づいた改良の考え方なのだ。美的なものに触れているところは全くないが、発展や新しい機会に対してのリアクションについて沢山述べられている。

そうして、March of Dimesのホームページのリアラインは始まった。事実、我々はホームしかリアラインしなかった。その他全てのページはそっくりそのままにすることにしたのだ。なので、ホームはRFPで述べられた事柄を実現するだけでなく、その他のページとも美的に調和する必要性があった。この事実ひとつだけで、完全なページの作り変えの欲求を抑えることができた。

Image showing marchofdimes.com original and realigned sites.

リアラインされたホーム(右上)が、現存のホームと完全に別物ではないことは、恐らく驚きではないだろう。新しいホームは近々リリース予定だが、まだ発信内容の最終調整は続いている(例えばヘッドラインの空白部分)。

フルリニューアルの放棄

ここまでで、あなた方をリアライナーチーム側に引き入れられていられれば良いと思う。しかしながら、必要であるなら、美観のためのフルリニューアルを全く避けるべきとは私は思っていないとわかってほしい。もしそこに最もな理由があり、特にそれが単なるあなたのサイトの悪い部分の「症状」ではなく「原因」であるならば、デザインをまるまる一から作り直すことも問題ない。

実際に、このサイト(A List Apart)も、新アイデンティティ・ブランドの拡大(A Book Apart, An Event Apart)・そしてその他の必要な向上に適応するために似たような改変を数週間前にしたばかりだ。なのでフルリニューアルはしっかり是認されております。

リアライン主義への転換

リデザインからリアラインへのシフトチェンジを取り入れる準備はいいだろうか?リアライン主義信仰へうつる際は以下を考慮してほしい。

  1. “レーゾンデートル=存在の理由や根拠”を確実にすること。リアラインの理由・目標・目的はなにか?普段私はプロジェクトの要約に特にこれ専用の一行を設けている:「このプロジェクトのレーゾンデートルはなにか?」Yesと言うのと同じくらい、Noと言うことも忘れないでほしい。Greg StoreyのALA参入のNever Get Involved in a Land War in Asia (or Build a Website for No Reason)も一読に値する。
  2. どの程度のリアラインが必要なのか決めること。最小限のチェンジで十分か、それとも完全な改良が必要か?しっかりしたレーゾンデートルがこの質問の答えへと導いてくれるはずだ。
  3. ユーザーの切り替えコストを考えること。そのサイトのユーザーにはどんな影響をおよぼすのか?ユーザーはどのように無理矢理・促され・もしくは積極的に、リアラインされたデザインと変化したUI、ナビゲーション、カラーテーマなどへ心を「切り替え」られるのか?どれほど面倒・もしくは難なく切り替えられるか?これは必要なリアラインの程度にも影響するだろうか?
  4. リリースプランへの影響を決めること。2~3のステップを考えれば、リリースの段階を決めることができ、一度かもしくは段階ごとのリリースが必要なのかといった事柄も決定できるはずだ。

さぁやってみよう。ママが昔よく言ったように、「なにかをやり遂げてみなさい」。チーム「リアライナー」は素晴らしいスタート地点だ。